結論 — 評価額には、期限つきの是正手段がある
固定資産税の納税通知書が届いて、金額に納得がいかない。 そう思ったときに使える仕組みが2つあります。縦覧と審査の申出です。
どちらも期限があります。気づいたときには過ぎていた、ということが起きやすいので、 先に期限だけ押さえておいてください。
| 縦覧 | 審査の申出 | |
|---|---|---|
| 何ができるか | 他の土地・家屋の価格と比べる | 評価額に不服を申し立てる |
| いつ | 毎年4月1日から(後述) | 納税通知書の交付を受けた日後3か月以内 |
| 相手 | 市町村 | 固定資産評価審査委員会 |
縦覧 — 他人の家の評価額と比べられる
縦覧は、自分の土地・家屋の登録価格を、同じ市町村内の他の土地・家屋の価格と 比較できるようにするための制度です(地方税法416条)。
期間は毎年4月1日から、4月20日または当該年度の最初の納期限の日のいずれか 遅い日以後の日までと定められています。災害その他特別の事情がある場合の 例外規定もあります。実際の期間と場所は市町村が指定するので、「(自治体名)固定資産 縦覧」で確認してください。
縦覧できるのは、その市町村内の土地・家屋に固定資産税を課されている納税者です。 誰でも他人の評価額を見られる制度ではありません。 自分が納税者である資産の評価が適正かを確かめるための仕組みです。
似た名前の制度に閲覧があります。こちらは自分の資産の課税台帳を見るもので、 目的が違います。近隣と比べたいなら縦覧、自分の登録内容を確かめたいなら閲覧です。
審査の申出 — 対象は「価格」だけ
いちばん間違えやすいのがここです。審査の申出ができるのは、課税台帳に登録された価格(評価額)に対する不服だけです。
- ○ 評価額そのものが高すぎる固定資産評価審査委員会への審査の申出
- × 税額が高すぎる価格の話ではないので対象外
- × 住宅用地の特例が適用されていない課税の取り扱いの話。行政不服審査法の審査請求
税額や特例の適用は「課税の取り扱い」の問題で、評価額とは別の手続きになります。 窓口も期限も違うので、自分の不満がどちらなのかを最初に切り分けてください。
特例が外れる仕組みそのものは空き家の固定資産税に整理しています。空き家を放置して勧告を受けた結果として特例が外れたのであれば、 それは評価額の誤りではなく、課税の取り扱いの話です。
手続きの流れ
- 1納税通知書が届く4〜6月ごろ(自治体による)
- 2縦覧で近隣の価格と比べる4月1日〜
同じ市町村内の他の土地・家屋の価格を見て、自分の評価が突出していないかを確かめる
- 3資産税担当課に相談する
評価の根拠を聞く。ここで誤りが分かって修正されることもある
- 4審査申出書を提出する納税通知書の交付を受けた日後3か月以内
固定資産評価審査委員会あて。正本・副本の2部を求める自治体が多い
- 5審査・決定
決定に不服がある場合は取消しの訴えという道もある
3つ目を飛ばさないでください。評価の根拠を聞いた段階で、現況と登録内容の食い違い(取り壊した建物が残っている、 地目が実態と違うなど)が見つかることがあります。 その場合は申出まで行かずに直ることもあります。
申出ができるのは、賦課期日(1月1日)現在の所有者である納税者またはその代理人です。 借地人や納税管理人は対象になりません。共有の場合は、各人が単独で申し出ることができます。
実家じまいで、ここが効く場面
- 建物を解体したのに、翌年も家屋の税がかかっている滅失登記や届出が済んでいるかを確認する。登録内容の是正の話です
- 増築部分が実態と違う未登記の増築がある場合、評価と現況がずれていることがあります
- 地目が実態と違う課税明細書の「登記地目」と「課税地目」を両方見る
- 近隣と比べて明らかに高い縦覧で確かめる。ただし評価額と売却価格は別物です
最後の点は誤解が多いところです。評価額が高いことと、売れないことは別です。 売れない家の評価額が高いという不満は理解できますが、それ自体は是正の理由になりません。 売却価格のほうを動かす話は土地の評価額を下げるやマイナス査定と言われたらを参照してください。
未登記の建物が絡む場合の詰まり方は空き家の管理とあわせて確認しておくと、翌年以降の課税でつまずきにくくなります。
よくある質問
「税額が高すぎる」という理由で審査の申出はできますか?
できません。固定資産評価審査委員会への審査の申出は、固定資産課税台帳に登録された価格(評価額)に関する不服だけを対象としています。税額そのものへの不服や、住宅用地の特例が適用されていないといった課税上の取り扱いへの不服は、行政不服審査法に基づく審査請求という別の手続きになります。窓口も期限も異なるため、まず自分の不服が「評価額の話」なのか「課税の取り扱いの話」なのかを整理してください。分からない場合は、物件所在地の市区町村の資産税担当課に、どちらの手続きになるかを尋ねるのが確実です。
相続したばかりですが、縦覧や申出はできますか?
審査の申出ができるのは、その年度の賦課期日である1月1日現在の所有者である納税者またはその代理人です。年の途中で相続した場合、その年度の納税義務者は1月1日時点の所有者、つまり亡くなった方ということになり、相続人はその地位を承継する立場になります。実際の取り扱いは自治体によって確認事項が異なるため、相続を証する書類を用意したうえで資産税担当課に確認してください。翌年度からは、あなた自身が納税者として縦覧・申出の対象になります。
空き家でも縦覧を見る意味はありますか?
あります。縦覧は、自分の土地・家屋の評価額と、同じ市町村内の他の土地・家屋の評価額を比べるための仕組みです。長く空き家にしている実家は現況が変わっていることがあり、たとえば建物の一部を取り壊した、住宅用地の範囲が変わったといった事情が評価に反映されていない可能性があります。近隣と比べて明らかに高いと感じる場合は、その根拠を持って相談できます。ただし評価額と実際の売却価格は別物なので、「売れない家なのに評価額が高い」という感覚だけでは是正の理由になりません。
一般的な制度の解説です。縦覧の期間・場所・申出の様式は市区町村ごとに異なります。個別の評価内容については物件所在地の資産税担当課へ、税額の計算については税理士へご確認ください。
この記事の出典(3件)
- 地方税法 416 条: 土地価格等縦覧帳簿及び家屋価格等縦覧帳簿の縦覧
- さいたま市: 固定資産評価審査委員会への審査の申出のあらまし
- 新座市 / 千葉市 / 仙台市: 固定資産評価審査委員会への審査の申出について