記事を書くほど、「取引そのもの」を知らないことが気になった
このサイトでは、実家の片付けから売却・解体・相続手続きまでを、公的機関の一次資料に当たりながら 書いてきました。書いているうちに、ある種類の記事だけ手応えが違うことに気づきました。 税金や登記のように制度が条文で決まっている話は調べれば書けるのに対して、「不動産会社とどう契約するか」「売主が何を負うか」という取引の話になると、 途端に自分の理解が浅いのです。
たとえば実家の売却の流れの記事で「媒介契約を結ぶ」と一行書いたとき、その3種類の違いを制度として説明できませんでした。 読者の方が実際に判子を押す場面なのに、です。
そこで、令和8年度(2026年度)の宅地建物取引士資格試験を受けることにしました。 不動産業に就くためではなく、実家じまいの読者に説明する前に自分が体系立てて学び直すためです。 このページは、その学習の記録と、勉強してみて分かった「試験範囲と実家の実務の重なり方」を 残していく場所です。学習の経過と結果は、このページに追記していきます。
令和8年度(2026年度)宅建試験の基本情報
まず前提となる日程です。私はインターネット申込で出願を済ませました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 2026年10月18日(日) 13:00〜15:00(2時間) |
| 申込期間 | インターネット 7月1日〜7月31日 23:59 / 郵送 7月1日〜7月15日 |
| 受験手数料 | 8,200円 |
| 合格発表 | 2026年11月25日(水) |
| 試験方法 | 50問・四肢択一式の筆記試験(登録講習修了者は45問で試験時間も異なる) |
出典: 一般財団法人 不動産適正取引推進機構「試験の概要」。試験は原則として毎年10月の第3日曜日、合格発表は11月下旬とされています。 受験を考えている方は、必ず当年度の実施要領で最新の日程を確認してください。
出題範囲7項目は、実家じまいのどこに効くのか
宅建試験の出題範囲は、機構の公表では次の7項目です。予備校の教材ではこれを 「権利関係」「宅建業法」「法令上の制限」「税・その他」の4分野に組み直して教えるのが一般的ですが、 ここでは公表されている7項目のまま、それぞれが実家じまいのどの場面に出てくるかを 並べてみます。勉強を始める前に自分用に作った対応表です。
| 出題範囲(公表どおり) | 実家じまいで出てくる場面 |
|---|---|
| ① 土地・建物の形質、地積、地目、種別、構造 | 地目が「田」「畑」のままだと転用の手続きが要る。農地付きの実家で最初につまずくところ |
| ② 権利および権利の変動に関する法令(民法・借地借家法・区分所有法・不動産登記法) | 相続による所有権の移転そのもの。相続登記の義務化・遺産分割協議書・借地の上に建つ実家 |
| ③ 法令上の制限(都市計画法・建築基準法・農地法など) | 「建て替えられない土地」の正体。再建築不可・接道義務・市街化調整区域。田舎の実家が売れない理由の多くはここ |
| ④ 宅地・建物についての税に関する法令 | 売ったときの譲渡所得税と空き家の3,000万円特別控除、 持ち続けたときの固定資産税、 相続時の小規模宅地等の特例 |
| ⑤ 宅地・建物の需給に関する法令および実務 | 住宅市場の動きと統計。買取と仲介のどちらを選ぶかを「相場観」で判断するときの土台 |
| ⑥ 宅地・建物の価格の評定 | 査定額がどう作られるか。取引事例比較法・原価法・収益還元法。 査定書の数字を鵜呑みにしないための前提知識 |
| ⑦ 宅地建物取引業法および関係法令 | ここが一番、売主に直結する。媒介契約の3種類、 重要事項説明、売主が負う告知義務。事故物件の告知もこの法律の話 |
こうして並べてみると、すでに記事にしてきた内容の相当部分が、 出題範囲のどれかに収まっていることが分かります。とくに②と④は、相続登記や譲渡所得の 特例として何度も一次資料に当たってきた領域です。逆に⑦は、読者が一番実務で触れるのに、私が一番書けていなかったところでした。
勉強しながら、⑦から順に記事として書き足していく予定です。書けたものはこのページからも リンクします。まずは全体の流れを押さえたい方は実家じまいの全体像から読んでみてください。
11週間の学習計画
申込を済ませたのが7月末なので、試験日まで約11週間です。各予備校が示す標準学習時間の目安は 独学で300〜400時間、講座を使って200〜300時間とされることが多く、 11週で割ると週18〜23時間(1日2.5〜3時間)という計算になります。 正直、楽な数字ではありません。相続や税の分野に土地勘がある分だけ短縮できると見込んでいますが、 見込みが外れたら記事の執筆を止めて学習に寄せます。
- 1権利関係(民法・借地借家法・区分所有法)8月上旬〜中旬
記事で扱ってきた相続の部分は既知。売買契約・意思表示・時効など、取引の基礎が新しい
- 2宅地建物取引業法8月中旬〜9月上旬
出題数が最も多く、実家の売却にも直結する本丸。ここは記事にも書き足していく
- 3法令上の制限・税・その他9月上旬〜下旬
都市計画法・建築基準法・農地法。税は既存記事と重なるので確認中心
- 4過去問の回転と総復習9月末〜10月17日
この期間はサイトの新規執筆を止める。学習に一本化する
- 5受験10月18日(日)
- 6合格発表11月25日(水)
結果はこのページに追記する。受かる前提では書かない
使っている教材
通学の時間が取れないので、スマホで進められるオンライン講座を使っています。 机に向かえない日でも、移動中や待ち時間に動画1本ぶんは進められるのが、 仕事をしながら受ける場合には現実的でした。
使ってみての感想は、ある程度の期間を通してからこのページに追記します。まだ数週間しか使っていない段階で「合格できる教材です」とは書けませんので、 今の時点では「これを使って進めている」という事実だけを記しておきます。
学習の記録(随時更新)
進捗と、勉強していて「これは実家じまいの読者にも関係がある」と感じたことを、 このセクションに足していきます。
| 時期 | やったこと・気づいたこと |
|---|---|
| 2026年7月末 | 出願完了。出題範囲を上の表のかたちに整理し、既存記事との重なりを確認した。 想像していたより、これまで書いてきた内容と重なる範囲が広かった |
よくある質問
試験に合格したら「宅建士」を名乗るのですか?
いいえ、合格しただけでは名乗れません。宅地建物取引業法では「宅地建物取引士」を宅地建物取引士証の交付を受けた者と定めており(同法2条4号)、そこに至るには試験合格のあとに資格登録と宅地建物取引士証の交付という段階があります。登録には2年以上の実務経験、または登録実務講習の修了が必要です。私は不動産業の実務経験がないため、仮に合格しても当面は「宅地建物取引士試験に合格」という書き方にとどめます。このサイトの著者情報も、事実の範囲を超えない表記にします。
資格を取ったら、個別の相談に乗ってもらえますか?
いいえ。合否にかかわらず、このサイトの編集方針は変わりません。個別の法律判断は弁護士、税額の計算は税理士、登記は司法書士というように、有資格者にご相談いただく前提で書いています。宅建の勉強は、その手前にある「何を誰に相談すればいいのか」「契約書のどこを見ればいいのか」を、私自身がもっと正確に説明できるようにするためのものです。相談先の振り分けは、相続の相談先ガイドにまとめています。
実家を売るだけなら、宅建の知識は必要ですか?
売る側が資格を持つ必要はまったくありません。宅地建物取引業の免許が要るのは「業として」反復継続して取引する場合で、自分の家を1回売るのはこれに当たりません。ただ、媒介契約の種類や重要事項説明の中身を知っていると、不動産会社の説明を受けるときに「何を確認すればいいか」が分かります。知識は取引を有利にするためというより、質問できるようになるためのものだと感じています。
相談先の振り分けについては相続の相談先ガイドに、士業ごとの守備範囲をまとめています。