空き家特例とは

正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」。 相続した実家(空き家)を売却したとき、要件を満たせば譲渡所得から最大 3,000 万円を控除できる制度です (租税特別措置法。出典: 国税庁タックスアンサー No.3306)。 放置空き家の発生を抑えるための政策的な特例で、要件が非常に細かいのが特徴です。以下のチェックリストで当たりを付けて、 最終判断は税理士・税務署に確認してください。

適用条件チェックリスト(主な要件)

家についての要件

売り方についての要件

※ 上記は主な要件の概要です。適用期限(現行は 2027 年 12 月 31 日までの譲渡)や 細部の判定は改正されることがあるため、必ず国税庁の最新資料で確認してください。

手続きの注意 — 「確定申告」と「確認書」が必要

この特例は自動では適用されません。売却した翌年の確定申告で 特例の適用を申告し、添付書類として市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」などが必要になります。 確認書の発行には空き家であったことを示す資料(電気・ガスの閉栓証明や 売買契約書の写しなど)を求められるため、実家じまいの過程で書類を捨てずに 残しておくことが大切です。

実家じまいの計画への影響 — 「売る順番」が変わる

この特例があるため、古い実家では「更地にしてから売るか、耐震改修するか、 買主に取壊しを委ねるか」で税額が変わり得ます。つまり解体古家付き売却の判断は、 特例の適用可否とセットで考えるべきテーマです。売却の流れのステップ 8 でも 触れているとおり、売り出す前に税理士へ相談するのが最も損のない順番です。

「特例を確認せずに売ってしまい、あとから使えたと知った」は取り返しがつきません。 ほかにも順番を誤ると戻れなくなる場面があります。やってはいけないこと 10で一通り確認できます。

よくある質問

Q. この特例でどのくらい税金が変わるのですか?

譲渡所得(売却益)から最大 3,000 万円を控除できるため、税率約 20%(長期譲渡)で考えると最大 600 万円程度の差になり得ます。相続した実家は取得費が分からず概算取得費(売却額の 5%)で計算せざるを得ないことが多く、その場合は売却益が大きく出やすいので、特例の有無のインパクトは特に大きくなります。

Q. 売ってから特例に気づきました。今から使えますか?

要件を満たしていれば、売却した翌年の確定申告で適用を受けられます(申告が適用の条件です)。ただし「売り方」自体が要件に関わる部分(更地化のタイミング、1 億円以下の判定、売却期限)は後から変えられないため、本来は売却前の確認が重要です。既に売却済みの場合は、要件充足の判定も含めて税理士に相談してください。

Q. 兄弟 2 人で相続した家を売る場合、控除はどうなりますか?

要件を満たせば相続人ごとに特例を適用できますが、2024 年以降の譲渡では、取得した相続人が 3 人以上の場合は 1 人あたりの控除上限が 2,000 万円になります。共有での売却は「売却代金 1 億円以下」の判定にも全員分が合算されるなど論点が増えるため、事前の税理士確認を強くおすすめします。

※ 本記事は国税庁の公表資料に基づく一般的な制度解説であり、個別の税務判断はできません。 適用可否・税額の計算は税理士または税務署にご相談ください。