空き家特例とは
正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」。 相続した実家(空き家)を売却したとき、要件を満たせば譲渡所得から最大 3,000 万円を控除できる制度です (租税特別措置法。出典: 国税庁タックスアンサー No.3306)。 放置空き家の発生を抑えるための政策的な特例で、要件が非常に細かいのが特徴です。以下のチェックリストで当たりを付けて、 最終判断は税理士・税務署に確認してください。
適用条件チェックリスト(主な要件)
家についての要件
- 昭和 56 年 5 月 31 日以前に建築された家屋である旧耐震基準の建物が対象。区分所有建物(マンション)は対象外
- 相続開始の直前まで被相続人(親)が 1 人で住んでいた老人ホーム等に入所していた場合も一定の要件下で対象になり得る
- 相続してから売却まで、事業・貸付・居住に使っていない一度でも貸すと対象外。空き家のまま売ることが条件
売り方についての要件
- 相続開始から 3 年後の年末までに売却する例: 2024 年 6 月相続 → 2027 年 12 月 31 日まで
- 売却代金が 1 億円以下共有者・複数回に分けた売却は合算で判定
- 耐震基準を満たすか、家屋を取り壊して売る2024 年以降の譲渡では、売却後翌年 2/15 までに買主が耐震改修・取壊しをする場合も対象に
- 親子など特別な関係者への売却でない配偶者・直系血族・生計一親族等への売却は対象外
※ 上記は主な要件の概要です。適用期限(現行は 2027 年 12 月 31 日までの譲渡)や 細部の判定は改正されることがあるため、必ず国税庁の最新資料で確認してください。
手続きの注意 — 「確定申告」と「確認書」が必要
この特例は自動では適用されません。売却した翌年の確定申告で 特例の適用を申告し、添付書類として市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」などが必要になります。 確認書の発行には空き家であったことを示す資料(電気・ガスの閉栓証明や 売買契約書の写しなど)を求められるため、実家じまいの過程で書類を捨てずに 残しておくことが大切です。
実家じまいの計画への影響 — 「売る順番」が変わる
この特例があるため、古い実家では「更地にしてから売るか、耐震改修するか、 買主に取壊しを委ねるか」で税額が変わり得ます。つまり解体や古家付き売却の判断は、 特例の適用可否とセットで考えるべきテーマです。売却の流れのステップ 8 でも 触れているとおり、売り出す前に税理士へ相談するのが最も損のない順番です。
「特例を確認せずに売ってしまい、あとから使えたと知った」は取り返しがつきません。 ほかにも順番を誤ると戻れなくなる場面があります。やってはいけないこと 10で一通り確認できます。
よくある質問
Q. この特例でどのくらい税金が変わるのですか?
譲渡所得(売却益)から最大 3,000 万円を控除できるため、税率約 20%(長期譲渡)で考えると最大 600 万円程度の差になり得ます。相続した実家は取得費が分からず概算取得費(売却額の 5%)で計算せざるを得ないことが多く、その場合は売却益が大きく出やすいので、特例の有無のインパクトは特に大きくなります。
Q. 売ってから特例に気づきました。今から使えますか?
要件を満たしていれば、売却した翌年の確定申告で適用を受けられます(申告が適用の条件です)。ただし「売り方」自体が要件に関わる部分(更地化のタイミング、1 億円以下の判定、売却期限)は後から変えられないため、本来は売却前の確認が重要です。既に売却済みの場合は、要件充足の判定も含めて税理士に相談してください。
Q. 兄弟 2 人で相続した家を売る場合、控除はどうなりますか?
要件を満たせば相続人ごとに特例を適用できますが、2024 年以降の譲渡では、取得した相続人が 3 人以上の場合は 1 人あたりの控除上限が 2,000 万円になります。共有での売却は「売却代金 1 億円以下」の判定にも全員分が合算されるなど論点が増えるため、事前の税理士確認を強くおすすめします。
※ 本記事は国税庁の公表資料に基づく一般的な制度解説であり、個別の税務判断はできません。 適用可否・税額の計算は税理士または税務署にご相談ください。