結論 — 実家を売る話の前に、行き先の話がある

実家をどうするかを考えていると、必ずここに突き当たります。売ったあと、親はどこに住むのか。

施設に入るなら話は進めやすいのですが、まだ元気で、 施設に入る段階ではない。かといって今の家は広すぎるし遠い。 そういうときに出てくるのが賃貸です。

そして高齢の親が部屋を借りるのは、若い人と同じようにはいきません。ここを知らずに売却の期日を決めると、あとで詰まります。

なぜ借りにくいのか

貸す側から見ると、入居中に何かがあったときの負担が読みにくい、という事情があります。 室内で亡くなった場合に物件の扱いが変わることを懸念する、という指摘もあります。

ただし「高齢だから借りられない」と決まっているわけではありません。借りにくい場面があるからこそ、国が制度を整えてきています。

制度の側が動いている

改正住宅セーフティネット法が、令和7年10月1日に施行されました。柱は3つです。

仕組み何のためのものか
居住サポート住宅の認定制度見守りなどの支援とセットになった住まいを認定する
終身建物賃貸借制度亡くなるまで住み続けられる形の契約
家賃債務保証業者の認定・登録保証人を頼めない人が、保証会社を使いやすくする

高齢者は、法律上の「住宅確保要配慮者」に位置づけられています。低額所得者、被災者、障害者、子育て世帯とならぶ支援の対象です。 自治体が計画を定めて対象を追加することもできます。

一般の賃貸情報サイトだけを見て諦めないでください。 国交省のセーフティネット住宅の情報提供システムで、 高齢者の入居を拒まない住宅を探せます。

相談する先

最後のひとつは意外と使われていません。 親の生活の状況を把握している窓口なので、住まいの話と介護の話を切り離さずに相談できます。

売却の段取りに、どう組み込むか

  1. 1
    親の希望を聞くまず

    地域を離れたくないのか、子の近くがよいのか。ここが決まらないと物件が絞れません

  2. 2
    住み替え先の候補を先に探す

    審査や内見に時間がかかります。売却より先に動き出す

  3. 3
    売却の相談を始める

    引き渡しの期日を、住み替え先の入居時期と合わせて交渉します

  4. 4
    荷物の量を減らす

    広い家から狭い住まいへ移るので、片付けが前提になります

2つ目と3つ目を逆にしないでください。売却が先に決まると、引き渡しの期日から逆算する形になり、 間に合わなければ仮住まいの費用が余計にかかります。

売却の流れそのものは実家売却の流れ、 荷物を減らす作業は生前整理の切り出し方にまとめています。

施設という選択肢と、並べて考える

賃貸か施設かは、二者択一ではありません。いま必要な支援がどれくらいかで決まります。

身の回りのことができていて、見守りがあれば足りるなら賃貸の側に寄りますし、 介護が要る段階なら施設の話になります。 施設に入ると決まったあとの準備は親の施設入所が決まってからの2週間、 実家の片付けとの順番は親が施設に入ったあとの実家にまとめています。

どちらにしても、実家を売る判断より先に、行き先の見通しを立てておくという順番は変わりません。

よくある質問

実家を売る前に、次の住まいを決めておくべきですか?

順番としては、決めておくほうが安全です。売却の話が進むと引き渡しの期日が決まり、そこから逆算して動くことになります。高齢の親が入居先を探す場合、内見や審査に時間がかかることがあり、期日に間に合わないと仮住まいの費用が余計にかかります。とくに施設ではなく賃貸を考えている場合は、物件探しと審査の期間を長めに見てください。売却の相談を始める段階で、住み替え先の目星をつけておくと、期日の交渉もしやすくなります。

保証人になれる家族がいません

家賃債務保証という仕組みがあります。保証会社が保証人の役割を担うもので、いまは保証会社の利用を前提にした募集が多くなっています。国は改正住宅セーフティネット法で、家賃債務保証業者の認定・登録の制度を設けています。制度上の位置づけがある業者を選べるということです。あわせて、居住支援法人という、住まい探しを支援する法人が都道府県知事の指定により置かれています。家族に頼れない事情がある場合は、こうした窓口に相談するところから始めてください。

「高齢だと借りられない」というのは本当ですか?

借りにくい場面があるのは事実で、だからこそ国が制度を整えています。ただし「借りられない」と決まっているわけではありません。改正住宅セーフティネット法が令和7年10月1日に施行され、居住サポート住宅の認定制度、終身建物賃貸借制度、家賃債務保証業者の認定・登録制度が柱として設けられました。高齢者は法律上の住宅確保要配慮者に位置づけられており、支援の対象です。一般の賃貸情報サイトだけを見て諦めず、セーフティネット住宅の情報提供システムや、自治体の住宅担当窓口もあわせて当たってください。

一般的な制度の解説です。居住支援法人の一覧や公営住宅の募集はお住まいの自治体によって異なります。入居の可否や条件は物件ごとに判断されるため、具体的な相談は自治体の住宅担当窓口・居住支援法人へお願いします。

この記事の出典(3件)
  • 国土交通省: 住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律について(令和7年10月1日施行)
  • 国土交通省: 住宅セーフティネット制度 ~誰もが安心して暮らせる社会を目指して~
  • 国土交通省: セーフティネット住宅 情報提供システム