「片付けが終わらない」なら、片付けない売り方がある

実家じまいで最も心が折れるのが、終わりの見えない片付けです。 押し入れから 30 年前の引き出物、使っていない大量の座布団 — 減らしても減らしても終わらない。 そんなときの選択肢が「現状渡し(家財込み売却)」、 つまり家財を残したまま、そのままの状態で売る方法です。

発想はシンプルで、買主が負担する片付け費用の分だけ売却価格から差し引く、 というものです。片付け業者に頼むと一軒家で数十万〜100 万円超かかることもあり(物量・広さ・地域で変動)、 しかも先に払っても「いつ・いくらで売れるか」は分かりません。 それなら片付けを買主に委ね、自分は体力も時間も使わずに手放す、という考え方です。

「高く売る」か「早く売る」か

売り方は大きく 2 つに分かれます。どちらが正解ということはなく、 片付けにかけられる体力・時間・費用で選びます。

高く売る(片付けて仲介)早く売る(現状渡し)
家財すべて片付ける(買主が住むイメージを持てる)残したまま。買主が処分
売却価格高くなりやすい片付け負担の分、下がりやすい
売主の手間片付け・修繕の負担が大きいほぼ不要(貴重品の回収のみ)
期間の見通しいつ売れるか流動的活用業者向けで早く決まりやすい
向いている人時間と体力に余裕がある・立地が良い遠方・多忙・片付けが進まない・田舎の物件

田舎の物件では、片付け費用と売却額が見合わないことも多く、 現状渡しの方が現実的なことがよくあります。買取と仲介の違い売れない家の選択肢もあわせて検討してください。

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現状渡しでも「これだけは」自分で

家財を丸ごと任せられるとはいえ、次のものだけは引き渡し前に自分で対応します。 量は多くないので、片付け全体に比べればわずかな手間です。

仏壇の扱いは仏壇の処分の記事に、 片付けを業者に頼む場合の費用感は遺品整理の費用相場に まとめています。

売り先の選び方 — 相見積もりが基本

現状渡しは、買主のタイプによって査定が大きく変わります。

どちらが高いかは物件次第なので、タイプの違う複数社に「現状のまま」で査定を取るのが鉄則です。 1 社の「これくらいですね」で決めないこと。まずはいま実家がいくらで売れそうか、現状のままの査定額を把握するところから始めると、 片付けた場合との手取り比較もできます。

足元を見られないためのひと言

気持ちが焦っていると、つい査定を下げる言い方をしてしまいます。

卑下する必要はありません。現状渡しは正当な売り方の一つです。

事前に伝えるべきこと(隠さない)

スムーズに、そして後のトラブルなく売るために、聞かれる前に伝えておきたい情報があります。

売って現金化するほかに、立地によっては貸す(賃貸活用)という道もあります。 実家で親が亡くなった家を売る場合は、事故物件の告知義務も 確認しておくと安心です。いずれにしても、まず「現状でいくらか」を知ることがすべての出発点です。

よくある質問

Q. 家財を残したまま売ると、どのくらい安くなりますか?

一概には言えませんが、買主が家財の処分費や手間を負担する分、片付けて売る場合より査定額は下がる傾向があります。ただし、片付け業者に一軒家で数十万〜100 万円超を先に払い、そのうえ「いつ売れるか」も分からないことを考えると、トータルでは現状渡しの方が手元に残る、というケースは珍しくありません。複数の業者に「現状のまま」で査定を取り、片付けた場合との手取りを比べて判断するのが確実です。

Q. 現状渡しでも、自分で片付けるものはありますか?

写真・アルバム・手紙など「住んでいた人の顔が見えるもの」と、通帳・権利証・貴重品は自分で回収します。ここだけは他人に任せたくない部分であり、量も多くないので現実的です。また仏壇がある場合は、引き渡し前に閉眼供養(魂抜き)をして処分するのが一般的です。それ以外の家財は買主に委ねられます。

Q. 大手の買取業者に頼めばいいですか?

大手が悪いわけではありませんが、残置物のある家は「中身が読めないリスク」として査定を下げることがあります。古家の再生を手がける地元の業者や投資家は、家財より「土地・建物のポテンシャル」を見てくれることがあり、現状渡しと相性が良い場合があります。1 社で決めず、タイプの違う複数社に相見積もりを取って比べてください。

※ 費用や査定額の水準は物件の状態・地域・時期で大きく変わります。本文の金額は目安です。 売買契約の条件(残置物の扱い等)は、実際の契約前に不動産会社へご確認ください。