結論 — 屋根に載っているものは、家とは別に段取りが要る

実家の屋根に太陽光パネルが載っている。 2010年代の前半に設置した家が、いまちょうど相続の時期に入っています。

やっかいなのは、パネルが「家の一部」でありながら、 契約と処分については別扱いになることです。 家の名義を変えても売電の契約は変わりませんし、家を壊すときも パネルだけは別の段取りになります。

順番としては、①名義 → ②書類さがし → ③見積もりです。 いきなり撤去の見積もりから入ると、判断の材料が足りません。

① 名義 — 売電の入金は「気づきにくい相続財産」

売電による入金が続いていると、問題が起きていないように見えます。 しかし契約者は亡くなった親のままです。

口座が凍結されると入金を受け取れなくなります。 凍結の仕組みと当座の対応は口座凍結と仮払い制度にまとめています。

② 書類 — 残っていれば、選択肢が増える

太陽光は書類の有無で立場が大きく変わります。売るときも、撤去するときも、材料になるのは同じ書類です。

最後の項目は見落としやすいところです。屋根に載っていても、設備が親の所有ではない場合があります。その場合は撤去も売却も相手のある話になります。 書類の探し方は実家の書類整理を参照してください。

③ 撤去 — 足場代が効いてくる

撤去費用については、ネット上でよく見る金額に足場代が含まれていないという指摘があります。屋根の上の作業なので足場が要り、そこが十数万円単位で乗るためです。

パネル1枚あたりいくら、という単価の目安も示されていますが、 枚数・屋根の形状・立地で変わります。金額はかならず現地を見た見積もりで確かめてください。

撤去費用が誰かに積み立てられている、ということは期待できません。事業用の大きな設備には費用を積み立てる仕組みがありますが、 住宅の屋根に載っている規模のものは扱いが異なります。費用は自分で用意する前提で考えておいてください。

もうひとつ、解体とセットで頼むときの注意があります。解体業者やハウスメーカーに一括で依頼すると、元請けとしての取り分が上乗せされるという指摘があります。撤去だけを分けて見積もりを取り、比べてから決めるほうが、 何にいくらかかっているかが見えます。

解体費全体の考え方は実家の解体費用、 設備まわりの処分は解体前に出てくる設備の処分にまとめています。

放置してはいけない理由

使わなくなったから、そのままにしておく。これが選べません。

パネルは、電気の契約を切っても光が当たれば発電します。屋根に載ったまま傷んだり、台風で飛んだり、割れたパネルに人が触れたりすると、 感電の危険があります。空き家で人の目が届かない状態なら、なおさらです。

空き家の管理で見るべき箇所は空き家の管理にまとめていますが、太陽光がある家では屋根まわりも見る対象に入れてください。

すぐ処分できないときの置き方

  1. 1
    取り外して屋内に移す

    物置などの屋内。屋外に放置しない

  2. 2
    発電する面を裏返す

    光が当たらない向きにします

  3. 3
    ブルーシートをかけて縛る

    養生して光を遮ります

  4. 4
    内容物と枚数を書いた標識を置く

    何がどれだけあるかを分かるようにしておきます

これは環境省のガイドラインに沿った一時保管の方法として紹介されているものです。 畳1枚ほどのスペースがあれば20枚前後は平積みできるとされています。あくまで一時的な置き方で、処分までの猶予を作るためのものです。

よくある質問

売電の入金が続いています。放っておいてよいですか?

よくありません。売電は電力会社との契約に基づくもので、契約者は亡くなった親のままになっています。名義の手続きをしないまま放置すると、入金が止まったり、亡くなった方の口座に振り込まれ続けたりします。口座が凍結されていれば受け取れません。また、固定価格買取制度の認定を受けている設備は、経済産業省への手続きも別に必要です。入金があるうちは気づきにくいのですが、相続財産のひとつなので、遺産分割の話にも関わってきます。まず電力会社に連絡して、必要な手続きを確認してください。

屋根に載せたまま家を売ることはできますか?

できます。ただし買主に引き継ぐものが増えるので、条件の整理が必要です。設備の所有者が誰か、売電の契約がどうなっているか、屋根の防水がどうなっているか、パネルの保証が残っているかといった点が問われます。設置業者との契約書やパワーコンディショナーの保証書が残っていれば、買主に渡せる材料になります。逆に書類が何もないと、買主から見てリスクだけが見える状態になり、値引きの材料にされることがあります。売り出す前に書類を探しておいてください。

パネルは家庭ごみに出せますか?

出せません。取り外した太陽光パネルは、通常の家庭ごみとしては扱われず、撤去を行う事業者を通じた処理になります。自治体によっては、災害で破損した場合に限って災害廃棄物として扱うことがありますが、平常時の撤去は対象外であるのが一般的です。取り扱いは自治体ごとに異なるため、実家のある市区町村の廃棄物担当課に確認してください。なお、取り外したパネルも光が当たれば発電するため、置き場所と養生には注意が必要です。

一般的な進め方の解説です。費用は物件ごとに大きく変わるため必ず見積もりで確認してください。廃棄物の扱いは自治体ごとに異なります。相続財産としての扱いや遺産分割については司法書士・弁護士へご確認ください。

この記事の出典(3件)
  • 撤去費用の内訳・一時保管の方法: 事業者による解説動画(2023年)での指摘にもとづく。金額は目安であり、現地見積もりで確認が必要
  • 環境省: 太陽光発電設備の適正な処理・保管に関するガイドライン
  • 売電契約・固定価格買取制度の認定の手続き: 契約先の電力会社および再生可能エネルギー電子申請の窓口