「実家じまいは何から始めればいいのか」— やることが多くて途方に暮れがちですが、 全体は「相続直後 → 手続き → 片付け → 処分 → 完了後」の 5 フェーズに整理できます。 このページは、その時系列に沿ってやることを一覧にした保存版チェックリストです。 全体の期間の目安は半年〜2 年。今どこにいて次に何をすべきかを、上から順に確認してください。まだ相続が起きていない方は、フェーズ 0(親が元気なうち)からどうぞ。 もし途中で疲れて手が止まってしまったら、実家じまいが進まない・疲れたときにもあわせてどうぞ。
| フェーズ | 時期の目安 | 主にやること |
|---|---|---|
| 0. 親が元気なうち | 相続が起きる前 | 方針の共有・貴重品の場所の確認・生前整理 |
| 1. 相続直後 | 〜四十九日ごろ | 遺言確認・方針の合意・相続放棄の判断 |
| 2. 手続き | 〜3 か月 | 相続人確定・遺産分割・相続登記 |
| 3. 片付け | 数週間〜数か月 | 貴重品の確保・形見分け・遺品整理 |
| 4. 家の処分 | 3 か月〜1 年 | 査定・売却/解体・引き渡し |
| 5. 完了後 | 売却の翌年まで | 確定申告・特例の確認・各種解約 |
各項目には詳細解説の記事リンクを付けています。項目を進捗保存しながらチェックしたい場合は、 末尾の実践版ツールもあわせてご利用ください。
先に押さえたい「期限のあるもの」
フェーズごとの作業は多少前後しても取り返せますが、期限があるものだけは先に頭に入れておきたいところです。 各フェーズに散っている期限を、ここにまとめました。
| やること | 期限 | 起算点 |
|---|---|---|
| 相続放棄・限定承認の判断 | 3 か月 | 自己のために相続の開始があったことを知った時から(民法 915 条 1 項) |
| 相続税の申告・納税 | 10 か月 | 被相続人が死亡したことを知った日の翌日から(国税庁タックスアンサー No.4205) |
| 相続登記(名義変更) | 3 年 | 不動産を取得したことを知った日から(義務化されている) |
| 売却益が出た場合の確定申告 | 売却の翌年 2〜3 月 | 売買が成立した年の翌年 |
起算点が「亡くなった日」ではなく「知った日」になっているものがある点は、 見落としやすい部分です。 相続税は、そもそも申告が必要かどうかが財産額で変わります。 判断に迷う場合は税理士に、放棄を検討する場合は弁護士・司法書士にご相談ください。
フェーズ 0: 親が元気なうち(相続が起きる前)
このリストは相続後を想定して作っていますが、負担がいちばん軽くなるのは、親が元気なうちに手をつけられた場合です。 まだ相続が起きていない方は、ここから始めてください。
- 家をどうしたいか、親の希望を聞いておく「片付けよう」から入ると角が立つ。まず希望を聞く順番で
- 貴重品・重要書類の場所を共有しておく権利証・通帳・保険証券・印鑑。場所が分かるだけで後が大きく変わる
- 遺言書を書くかどうかを話しておく書く場合の保管方法(法務局の保管制度など)も含めて
- 不要品を少しずつ減らす一度に片付けようとしない。親のペースに合わせる
- 家の権利関係を確認しておく共有名義になっていないか、借地でないか。売るときに効く
- 判断能力が下がる前提での備えを知っておく認知症になると売却も口座の引き出しも止まる
切り出し方や、やってはいけないことは親が元気なうちに始める実家じまいで詳しく書いています。 判断能力が下がったあとの制約は認知症と実家の売却を参照してください。
フェーズ 1: 相続直後(〜四十九日ごろ)
- 遺言書の有無を確認する自宅・貸金庫・法務局(自筆証書遺言保管制度)・公証役場
- 相続人全員で家の方針を話し合う売る・解体する・残すの合意づくり。独断で進めない
- 相続放棄の可能性を確認する借金が多い場合など。検討中は遺品を処分しない(承認とみなされ得る)
- 公共料金・郵便物の手配電気(防犯上は継続も)・ガス停止、郵便転送
方針の決め方は実家じまいの全体像、 遺品整理を始めてよい時期は遺品整理はいつから?を参照。
フェーズ 2: 手続き(〜3 か月)
- 戸籍を集めて相続人を確定する被相続人の出生〜死亡の連続戸籍
- 遺産分割協議書を作成する不動産の帰属を明記。全員の実印+印鑑証明
- 相続登記を申請する取得を知った日から 3 年以内の義務。売却の前提
- 固定資産税の納税通知書を確認する評価額は登録免許税・税額試算の基礎資料になる
相続登記の義務化・自分でやる手順・名義変更の費用で詳しく解説しています。
フェーズ 3: 片付け(数週間〜数か月)
- 貴重品・重要書類を探して確保する権利証・通帳・保険証券・現金・貴金属。片付けの前に必ず
- 形見分けをする迷ったら保留箱。価値のある品は相続人で共有してから
- 買取に回せるものを分ける貴金属・骨董・カメラなど。処分費を払う前に査定へ
- 仏壇・位牌の扱いを決める引き継ぐか、閉眼供養して処分するか
- 残りを処分する(自分で or 業者)業者なら 2〜3 社の相見積もりが鉄則
自分でやる手順・業者の費用相場・遺品の買取・仏壇の処分を参照。
フェーズ 4: 家の処分(3 か月〜1 年)
- 複数社に査定を依頼して市場価値を知るすべての判断の基礎。1 社の意見で決めない
- 処分方法を決める仲介・買取・賃貸・解体・空き家バンク・国庫帰属から
- (解体する場合)補助金と土地の査定を先に確認交付決定前の着工は補助対象外
- 売買契約・引き渡し固定資産税は日割り精算。鍵・書類一式を引き継ぐ
売却の流れ・買取と仲介の比較・売れないときの選択肢・解体費用を参照。
フェーズ 5: 完了後(売却の翌年まで)
- 売却益が出たら確定申告する売却した翌年の 2〜3 月
- 空き家特例(3,000 万円控除)の適用を確認する本来は売却前の確認が理想
- 火災保険・光熱費契約の解約引き渡し後の解約漏れに注意
税金は空き家特例の条件、 全体の費用感は総額シミュレーションを参照。
よくある質問
Q. 実家じまいは何から始めればいいですか?
まずは「相続人全員で家の方針(売る・残す・解体する)を話し合うこと」から始めてください。方針が決まる前に片付けや売却を進めるのが最大の失敗パターンです。方針が固まれば、貴重品の確保 → 相続登記 → 片付け → 査定という順番が自然に決まります。
Q. チェックリストの順番どおりに進めないとだめですか?
厳密に順番どおりである必要はありませんが、「方針決定 → 貴重品確保 → 片付け → 査定 → 処分」の大きな順序は守ることをおすすめします。特に、貴重品を探す前に片付けを始める・相続人の合意前に処分を進める、の 2 つは典型的な失敗パターンです。
Q. 全部でどのくらいの期間がかかりますか?
家の売れやすさと相続手続きの複雑さ次第ですが、半年〜2 年が一般的です。相続登記(1〜3 か月)と売却活動(3 か月〜1 年)が期間の大部分を占めます。
Q. 親が存命ですが、このリストは使えますか?
使えます。この記事のフェーズ 0(親が元気なうち)から始めてください。やることは、家をどうしたいかの希望を聞く、貴重品と重要書類の場所を共有する、遺言書を書くかを話す、不要品を少しずつ減らす、家の権利関係を確認する、の 5 つが軸になります。生前に貴重品の場所と家の方針を共有できていれば、相続後のリストの大半が大幅に楽になります。切り出し方には注意が必要なので、詳細は「親が元気なうちに始める実家じまい」もあわせてご覧ください。
Q. 期限のあるものだけ先に知りたいのですが?
記事の前半に「期限のあるもの」の表を置いています。相続放棄・限定承認の判断が 3 か月、相続税の申告と納税が 10 か月、相続登記が 3 年、売却益が出た場合の確定申告が売却の翌年 2〜3 月です。注意したいのは起算点で、相続放棄は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から、相続税は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日」からと定められています。亡くなった日から数えるとは限りません。相続税は財産額によって申告が不要な場合もあるため、必要かどうかの判断は税理士にご相談ください。
この記事の項目を、進捗を保存しながら1つずつチェックできる実践版ツールも用意しています。
無料ツール(登録不要)実家じまいチェックリスト【進捗が保存できる実践版】チェックした進捗を自動保存。印刷して親族と共有も使ってみる →